- 文:山口努 / 編:青木淳
2013年12月25日更新
「試合を組み立てる“意図ある”パスワーク」
想いを込めたパスで、ゴールまでの点線をなぞろう!
- 画像出典: つれさか
2010南アフリカW杯、全代表チームの1試合平均パス本数は484本
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試合におけるパスの「本数の多さ」「その成功率の高さ」がチームの強さを量る上で大きな要素と考えられています。顕著な例として、2010南アフリカW杯を優勝したスペイン代表の1試合平均パス本数と成功率は、各国平均の484本・70%を大きく上回る679本・80%と驚異の数字でした。
チームの強さがパス本数で推し量ることができる反面、チームのパスワークを支えるスペシャリストと呼ばれる選手の強さは、パス本数で決まるわけではありません。ある意味で、サッカーの魅力的な側面ですね。
パサーとも呼ばれる選手は、瞬時にチャンスを見極め、ハリの穴を通すような緻密さで、いとも簡単に「ゴールに直結する最高のアシスト」をパスし、スペシャリストとしての評価を持つのです。
ここから始まった?! バルサのパスサッカー
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かのヨハン・クライフは『より多くボールをキープしているチームが勝つ』と公言し、多くの勝ちを獲ってきました。クライフがバルサ監督時代に愛弟子だったジョゼップ・グアルディオラと引き継がれ、グアルディオラが監督に就任すると、その“公言”がより活かされました。
彼の公言を選手が理解し、想いを共有し具現化された試合。圧倒的なボール支配率で勝ちきるその様は「ポゼッションサッカー」と呼ばれ、現在ではすっかり定着した戦術となっています。 -
バルサのパスワーク
ドルトムントのサッカー、縦の攻撃を支えた香川真司
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ポゼッションサッカーが横パスも多用し、“横に”強いパスワークができるバルサのようなチームを作るならば、“縦に”強いパスワークで作り上がったチームはドルトムントでしょう。
香川選手も中心的役割を果たした、横パスを多用することなく、いうなれば手数を掛けずにゴールへ一直線に攻め上がるパスワークは「未来のサッカー」とも形容されるに至りました。
その名を世界に知られた香川選手が、イングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドに移籍したことはビッグニュースでしたね。 -
ドルトムントのサッカー、美しいパスワーク
天才MF小野伸二、二面性を感じるパス
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2001/2002 UEFAカップ(現EL・ヨーロッパリーグ)を制覇したフェイエノールトでプレーしていた小野選手は、チームにとって伝説的な背番号14を背負い欧州制覇に貢献しました。
攻撃を活性化させるエレガントなパスを見たファンは、「メッセージパス」「ベルベットパス」と呼び称賛しました。結果としての攻撃性とは裏腹に、美しい軌道を描く優しいパスは時が経っても色褪せることはないでしょう。 -
小野伸二のパスセンス
運命を作った1本のパス
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6月に国立競技場で見た方もいるかもしれません、現役後も絶大な人気を持つロベルト・バッジョ。彼に、自身の「後継者」と言わしめたアンドレア・ピルロは、バッジョの伝説的なゴールをアシストしたことで、一躍イタリアを代表する選手となり、後にビッククラブに引き抜かれることとなりました。
インテル・ミラノからACミランに移籍。カルロ・アンチェロッティの指導で開花した才能は、当時は珍しかった正確無比な「長短のパス」をマークしにくい後方から出し、試合を組み立てる「レジスタ」のポジションを確立。
2011年に移籍したユベントスでもチームの連覇に貢献。また、イタリアの青(インテル)・赤(ミラン)・白(ユベントス)の縦縞のシャツを身にまとった数少ない選手の一人です。
このアシストは、ピルロの名を世界に駆け巡らせるきっかけとなった、運命のパスと言えるのではないでしょうか。 -
ピルロ→バッジョの芸術的なパスとトラップ
パスには“想い”が詰まっている
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ピルロや小野選手のように試合を劇的に動かせるスペシャリストのパスには、常に意図があります。
彼らのような天才的なプレーを出せなくとも、彼らのように、チームの戦略を理解しパスワークに活かす努力とチームメイトへ“想い”を込めたパスを交わすことは出来る筈です。
すべての善いパスへの意識は、そこに集約されているのではないでしょうか。
例えば相手ゴールに向かって攻める攻撃的なパスワーク、例えばポゼッションを高め相手の攻撃時間を減らす防御的なパスワーク、常にチーム11人が共通の意識と想いでパスワークをすることが重要です。その中で一歩抜きに出るプレーヤーは、相手の隙を見つけ出し、チャンスを見逃すことなく得点に繋がるプレーをするんです!
美しい軌道を描いたゴールに直結するパスでも、防御に回る回避のパスでも、1本1本にキミの “想い”を込めたパスでボールをつなげよう!
チーム皆の想いが紡(つむ)ぐパスワークは、サッカーの醍醐味と勝利となり、最高のひと時を分かち合える筈だ!
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