- 文:山口努 / 編:青木淳
2013年12月11日更新
『トラップ』を磨こう!
置きたいとこに収められてこそ“できる”選手の第一歩!
- 画像出典: NO FOOTY NO LIFE
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アマチュアからプロフェッショナルまで、サッカーの基本動作は「止める・蹴る・走る」ですね。この3つをより高い水準でプレーする選手ほど、比例した評価を受けてきました。
なかでも「止める」に絶対的な安定感のある選手は、ファンやチームの信頼と評価を持つ“できる”選手ではないでしょうか。
素早い状況判断、伴う動きが「肝」
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自身をマークする相手選手を意識し、届かない位置にボールを収めることが基本とされ、次のプレーからマーク選手を置き去ることが理想です。
とはいえ、攻守の切り替えスピードが速い現代サッカー。コンパクトになりスペースが減り、プレッシャーも早くなるにつれ、その“基本と理想”が高度化してきています。
狭い中のファーストタッチでしっかり「止めること」が大前提になり、同時にボールを「どこに置くか」が次のプレーの精度に直結し、それこそが選手の力量を浮き彫りにするのです。
20世紀における欧州最高のプレイヤーと称されたジネディーヌ・ジダンのトラップには、理想的なお手本となる“芸術的なファーストタッチ”が凝縮されていますね。 -
ジネディーヌ・ジダン トラップ集
出し手の意図を汲み取る「収め方」
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2000年台初頭、黄金期を築いていたジュビロ磐田はMF名波浩を中心にイニシャルと選手の配置から「N-BOX」とよばれるシステムを形成。
味方選手にトラップ“させたい”場所へボールを送れる数少ない選手の存在と、次のプレーを有利に運ぶべくボールをきちんと“収める”選手に囲まれていたからこそ、チームが黄金期を築けたのも頷(うなず)けます。 -
ジュビロ磐田のパスワークとトラップ技術
トラップを評価され、時代を築いたアイスマン
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W杯の歴史に刻まれるスーパートラップ
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イングランド・アーセナルを率いるアーセン・ベンゲル監督は、アヤックス時代ほど輝けていなかったインテル・ミラノ時代のデニス・ベルカンプをチームに加入させました。
不遇な時を過ごし、インテルのチームメイトや関係者から「ガラクタ」「早熟の選手」とみられていた選手でしたが、ベンゲル監督がトラップの技術に惚れこみ獲得を強く希望したのは有名な話です。
ベルカンプ選手は、その後アーセナルで一時代を築き、チームのレジェンドプレイヤーとして歴史に刻まれました。 -
デニス・ベルカンプのスーパートラップ
トラップの重要性
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トラップが疎(おろそ)かになると、チームメイトはもちろん、ファンの士気すら下げてしまいます。
誤解を恐れずに言えば、トラップが出来ていないとおよそサッカーと呼べるスポーツではなくなる危険を孕(はら)んでいるほど、重要かつ基本のプレーと言えます。
ジダンやベルカンプほどのトラップをプレーすることは難しくても、理想やイメージ作りには十分過ぎるほどですよね。例えば、両選手はファーストタッチで巧みに相手を交わすことを得意としていましたが、アマチュアプレイヤーの皆さんも是非、得意なトラップを作り磨いてみてください。
トラップが上手くハマり「ファーストタッチ」で相手選手を出し抜く瞬間、その快感と感動を例えるのは難しいことでしょう。鳥肌が立つ感じ、なんともいえない高揚感、表現し辛いけどね。そんな感覚を味わえることと思います。
疎かにしちゃいけないプレーが試合でハマる瞬間の積み重ね。
そこで味わえる“感覚”は、間違いなくあなたをサッカーの虜とし、“できる”選手になるべく自身を磨く「糧」となることでしょう。
相手を唸(うな)らせるジダンのようなトラップ。キミもできる筈だ!
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